介護タクシーとは 開業への基礎知識

男性の乗る車いすを押す女性

介護タクシーを開業するには、国土交通大臣の許可を受けることが必要です。許可の基本部分は一般のタクシーと共通の要件で審査されますが、クルマ1台から開業できるなど大きな違いもあります。このページでは、介護タクシーとは何か、一般のタクシーとの違いは、などを分かりやすく解説していきます。

介護タクシーとは何か

介護タクシーは、一般のタクシー事業の特別な一形態と位置付けられます。そのため、開業に必要な許可を得るために満たさなければならない要件は、基本的には一般のタクシーと同じものですが、乗せる旅客が限定されることなどから一部の要件が緩和されています。

介護タクシーとは何かを理解するために、まず最初に一般のタクシーとは何か、から簡単におさらいしてみます。

一般のタクシーとは?

自動車を用いて人を運ぶ事業を、旅客自動車運送事業といいますが、これは、大きく分けると「乗合バス」、「貸切バス」、「タクシー」の3種類になります。

そのうち、タクシー事業は正式には、「一般乗用旅客自動車運送事業」といいますが、その定義はというと・・・

一個の契約により、国土交通省令で定める乗車定員(筆者注:11人)未満の自動車を貸し切って旅客を運送する」事業(道路運送法第3条ハ)

となっています。
つまり、貸し切りで運行する点は貸切バスと同じですが、10人以下の乗車定員のクルマを使うものがタクシーということになります。

介護タクシーとは?

以上の通り、乗車定員10人以下の自動車を貸し切って人(旅客)を運ぶのがタクシー事業ですが、介護タクシーもこれと別のものではありません。

介護タクシーは正式には「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)」といいます。通常のタクシー事業は( )以外の部分である「一般乗用旅客自動車運送事業」が法律上の名前ですので、介護タクシー事業はタクシー事業の特別な一形態として位置づけられているということがわかります。 何が特別かというと、「旅客の範囲」と「使用する事業用自動車」について、特別なキマリがあるということですので、それを確認していきましょう。

旅客の範囲

介護タクシーは、運べる人(旅客)が下記の5つのいずれかに該当する人に限定されます。

  1. 介護保険法による要介護認定を受けている人
  2. 介護保険法による要支援認定を受けている人
  3. 身体障害者手帳の交付を受けている人
  4. 肢体不自由、内部障害、知的障害、精神障害そsの他の障害により、単独での移動が困難な人で、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な人
  5. 消防機関またはこれと連動するコールセンターを介して、患者輸送事業者による搬送サービスを受ける人

使用する事業用自動車

事業用自動車というのは自家用自動車に対比する言葉で、文字通り”事業に用いる自動車”です。事業用自動車は緑ナンバー(軽自動車は黒ナンバー)をつけますが、介護タクシーの場合、使用するクルマ(および乗務員の資格)についても下記のようなルールがあります。

福祉自動車
  • 車いすもしくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた自動車、または回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車
  • 上記自動車を使用する場合は、介護福祉士、訪問介護員、サービス介助士、ケア輸送サービス従事者研修修了者、福祉タクシー乗務員研修修了者のいずれかが乗務するように努めなければならない(努力義務)とされています。
セダン型等の一般車両
  • 介護タクシーは、リフトなどを装備した福祉車両でなく、セダン型等の一般車両で行うこともできます。
  • 但し、一般車両で行う場合は、介護福祉士、訪問介護員、居宅介護従業者、ケア輸送サービス従事者研修修了者が乗務しなければならない(必須・義務)とされています。

以上のように、介護タクシーは、旅客を介護・介助が必要とする人に限定し、その旅客の介護・介助ができる車両と乗務員で運行する形態のタクシーといえます。

一般タクシーと介護タクシー 許可要件の違い

介護タクシー事業もタクシー事業の一形態ですから、原則的には一般のタクシーと同じ要件で許可されることになりますが、大きな違いが2点あります。それは「営業区域」と「最低車両数」です。

一般のタクシーの場合の営業区域は、例えば埼玉県であれば県南中央交通圏(川口市、さいたま市、鴻巣市・・・など)を始めとした5つのエリア(交通圏)に分かれており、最低車両数は県南中央交通圏では10両、その他のエリアでは5両と定められていて、これを満たさないと許可が取れません。

これに対して、介護タクシーの営業区域は原則として都道府県単位とされ、1両から許可を得ることができます。許可基準としては、これだけの違いなのですが、そのことにより・・・

  • 4両までは、有資格者の運行管理者、整備管理者の選任が不要
  • 許可を得るには一定の自己資金があることを証明しなければなりませんが、車両が少なければその資金も少なくて済む

という2つの効果が生じます。このことは、特に必要な資金の金額の差となって現れますので、介護タクシーを1両など少ない車両数で開業するのであれば、一般のタクシーに比べればハードルはずいぶん低くなっているといっていいと思います。

また、現時点(令和2年6月17日)においては、関東運輸局管内では介護タクシーに限り役員法令試験の合格を求めない運用がされています。これも許可取得のハードルの高低には大きな点と思います。

まとめ

このページでは、介護タクシー開業の基礎知識として、一般のタクシーとの違いを中心に解説しました。

高齢化の進展とともに介護タクシーのニーズが高まっています。国交省によると、全国の介護タクシーの車両数は平成29年に13,662台でしたが、これは10年前の8,345台に比べ164%と高い伸びを示しています。高齢化の進展する日本では、この傾向は今後も続いていくでしょう。

介護タクシーの許可要件」では、一般のタクシー事業許可をベースとしつつ、介護タクシー特有の要件をふまえて、介護卓いしーの許可を得るために満たさなければならない事柄を解説しています。
ぜひ、ご参考になさってください。

介護タクシー許可申請にお困りなら

介護タクシーは車両1台から始められるなど、一般のタクシーに比べ許可のハードルは下げられてはいます。しかし、人命を乗せて走る仕事でもあり、許可を得る要件を満たすのは容易ではありませんし、申請するための書類の収集、作成も膨大なものになります。

新しい事業を立ち上げる際には、事業プランの検討や営業活動など、やるべきことは山ほどあります。そんな時、許可申請に関することは、当事務所のご活用をご検討ください。

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