貨物利用運送事業 仕組みと手続き徹底ガイド【2021年版】

3輸送モードのイラスト

貨物運送事業のひとつの形態に「貨物利用運送事業」というものがあります。運送業界にかかわりがある方なら、「水屋」というコトバを聞いたことがあるかもしれません。この「水屋」といわれるのが、貨物利用運送を行う事業者のことです。

このページでは、利用運送とは何か、どのような種類があるか、第1種貨物利用運送事業を行うための必要なことは何か・・・について、解説します。

利用運送とは?

「貨物利用運送事業」とは、”他人(荷主)の需要に応じ、運送責任を負って有償で、実運送事業者を利用して貨物を運送する事業” をいいます。

言い換えると、トラックや船舶などの実際の運送手段をもたない事業者が、運送手段を持つ事業者を”利用”して、貨物を運送する事業ということになります。

利用運送事業と実運送事業者

運送手段を持たずに運送事業を行う事業者を「貨物利用運送事業者」といい、実際の運送手段を持つ事業者を「実運送事業者」といいます。

貨物利用運送事業者は、実際の運送は自ら行いませんが、荷主から直接運賃を受け取り、荷主に対する運送責任は自身で負います(荷主に対する運送債務を負担する)。

実運送事業者(=実際に荷物を運ぶ事業者)は、荷主に対する責任は負わず貨物利用運送事業者に対して運送責任を負います

以上の説明を図に示すと下のようになります。

利用運送の概念図

貨物利用運送事業は、その形態により第一種と第二種に分類され、第一種は国土交通大臣による登録を受ける、第二種は同大臣の許可を受ける必要があります。

実運送事業者が行う輸送手段には、「船舶」、「航空」、「鉄道」、「貨物自動車(トラック)」の4種類があり、これらを【輸送モード】といいます。実運送事業者には、この輸送モードに応じて4種類の事業者があります。

実運送事業者の種類

実運送事業者には、先ほどあげた”輸送モード”に応じて4種類にわけられます。

  1. 船舶運航事業者(海上運送法の船舶運航事業を経営する者)
  2. 航空運送事業者(航空法の航空運送事業を経営する者)
  3. 鉄道運送事業者(鉄道事業法第2条第2項の第一種鉄道事業もしくは同条第3項の第二種鉄道事業を経営する者又は軌道法第4条に規定する軌道経営者)
  4. 貨物自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者)

上記1-4に該当しない、軽自動車、ロープウェイ、港湾運送を行う事業者は「実運送事業者」に当たらないため、これらを利用して運送する事業は、貨物利用運送事業には該当しません。

利用の利用・・・とは

「利用の利用」とはちょっと変な言葉のように聞こえるかもしれません。

貨物利用運送において「利用の利用」とは、

 貨物利用運送事業者が 貨物利用運送事業者を使って 運送事業を行う

ことで、特別なことではなく行われています。この場合も下記で説明する事業の区分に従って、第一種または第二種の貨物利用運送事業の登録または許可が必要です。

貨物利用運送事業の区分

貨物利用運送事業には第一種、第二種の別があると上に書きました。この二つの違いを説明します。

貨物利用運送の第一種と第二種の違い

第一種貨物利用運送

第一種貨物利用運送は、貨物利用運送事業法上は「他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう」と定められていますが、言い換えると・・・

第一種利用運送図解

 

船舶、航空、鉄道、トラックの4つの輸送モードからいずれか一つを利用して運送サービスを行う事業のことで、図にしますと右図のようなものになります。

図の通り、第一種の場合「port to port(船舶の場合)」、
「airpot  to  airport(航空の場合)」といった言い方をしますが「港から港まで」といった運送ですので、モードがトラックの場合を除いてドアツードアの一貫輸送ではありません。
図にない貨物の積込み場所から発港等まで、および、着港等から荷下ろし場所までは、別途トラック輸送等によることになります。

第一種貨物利用運送は登録制ですが、輸送モードごとの登録なので、4種全部をおこなうのであれば、4区分について別に登録を受けなければばなりません。

また、「貨物自動車運送事業者が、他の一般/特定貨物自動車運送事業者の行う運送を利用してする運送」は、貨物利用運送事業法に基づく登録の対象ではなく、貨物自動車運送事業法による許可または認可を受けて行うことになります。

第二種貨物利用運送

第二種貨物利用運送とは、幹線輸送(船舶、航空、鉄道)の利用運送と、幹線輸送に先行するトラックでの集荷および幹線輸送に後続するトラックでの配達を、一貫して行う事業のことを言います。
これを図示すると、下の図のようになります。

2種利用運送の概念図

こちらは、ドアツードアの一貫輸送であり、いわば「戸口から戸口へ」というイメージです。

全体がトラック輸送で行われる場合は輸送モードがひとつであり、第一種貨物利用運送事業になるため、第二種貨物利用運送事業には該当しません。

第一種貨物利用運送事業の登録

ここから、第一種貨物利用運送の登録を受けるための手続き、書類等について解説していきます。なお、貨物自動車運送事業法に基づく貨物自動車利用運送関係の手続きはここでは除きます。

第一種貨物利用運送事業の登録要件

国土交通大臣による第一種貨物利用運送事業の登録を受けるには、「事業遂行に必要な施設」「財産的基礎」「経営主体」の3つに関して定められた要件を満たすことが必要です。

事業遂行に必要な施設

  1. 使用権原のある営業所等を有していること
  2. 上記1の営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと
  3. 保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること
  4. 上記3の保管施設が都市計画法等関係法令に抵触しないこと
  5. 上記3の保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること
使用権原のある営業所等とは

営業所等について、自己所有かまたは賃貸借契約等によって正当に使用する権利がある、ということです。

自社に営業所等の使用権原があることは、申請者自身が「宣誓書」の提出によって宣誓します(一般貨物自動車運送事業の許可の場合、登記事項証明書(自己所有の場合)や賃貸借契約書(賃借の場合)の写しを提出して「証明」することが必要です)。

保管施設を必要とする場合の保管施設についても上記と同様です。

関係法令に抵触しないとは

都市計画法等関係法令に抵触しないこと、とありますが、これは貨物利用運送事業に関して特別な定めがあるというより、適法に建築する(建築された)建物を営業所等としなければならない、ということです。

農地法により農地には基本的に建物が建築できませんし、都市計画法上の市街化調整区域も原則的に建築できないので、営業所等を設けることができません。

建物が建てられる地域でも、都市計画法と建築基準法により、用途地域ごとに建物の用途に制限があります。用途地域が第一種低層住宅専用・第二種低層住宅専用・第一種中高層住宅専用・第二種中高層住居専用・田園住居の5つの用途地域内は、店舗・事務所が設けられないか、規模・目的等が大きく制限されるため、貨物利用運送事業の営業所等の設置は不可または困難です。

以上は、保管施設を必要とする場合の保管施設についても同様です。

財産的基礎

第一種貨物利用運送事業の登録を受けるには、事業の遂行のため必要と認められる財産的基礎を有することも求められます。これは、基準資産額といい、最近の貸借対照表を用いて下記の通り算出します。

基準資産額 = 貸借対象表の資産合計額 - 創業費その他の繰延資産および営業権 - 負債総額
個人の場合、財産に関する調書を用いて同様に算出します)

必要な基準資産額は、300万円以上です。

経営主体

「経営主体」に関しては登録拒否要件に該当しないことが必要です。すなわち、第一種貨物利用運送事業の登録を申請したものが次のいずれかに該当する場合は、登録を受けることができないとされています。

  1. 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  2. 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
  3. 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
  4. 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
  5. 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの
    イ 日本国籍を有しない者
    ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
    ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
    ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの
  6. その事業に必要と認められる国土交通省令で定める施設を有しない者
  7. その事業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者

(6は前述の「事業遂行に必要な施設」を有しないこと、7は同様に前述の「財産的基礎」を有しないことです)

 

第一種貨物利用運送の登録手続き

登録するための要件が確認できましたので、次は登録申請手続きに移りましょう。
最初に必要書類です。

登録申請に必要な書類

第一種貨物利用運送の輸送モードは4種類あり、登録に必要な書類とその様式も若干の違いがありますが、大きくは変わりません。以下は「自動車」による第一種貨物利用運送事業の登録申請をベースに解説します。

  1. 第一種貨物利用運送申請書事業登録申請書
  2. 事業の計画
    利用する区間(仕立地、仕向地など)、主たる事務所所在地、営業所の名称所在地
    保管施設の概要、利用する実運送事業者の概要 等を様式に基づき記載します
  3. 利用する実運送事業者との運送に関する契約書の写し
    (”利用の利用” の場合、自社が利用する貨物利用運送事業者との契約書になります)
  4. 貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類
    ・都市計画法等関連法令に抵触しないことを証する宣誓書
    ・営業所等の使用権原を有することを証する宣誓書
     〇貨物の保管体制を必要とする場合
     ・保管施設の面積、構造、付属設備を記載した書類
     ・使用権原を有することを証する宣誓書
  5. 既存法人の場合
    ・定款または寄付行為および登記事項証明書
    ・最近の事業年度における貸借対照表
    ・役員または社員の名簿および履歴書
  6. 法人を設立しようとする場合
    ・定款または寄付行為の謄本
    ・発起人、社員または設立者の名簿および履歴書
    ・株式会社を設立しようとする場合、株式の引受けの状況および見込みを記載した書類
  7. 個人の場合
    ・財産に関する調書
    ・戸籍抄本
    ・履歴書
  8. 登録拒否事由に該当しない旨を証する宣誓書(役員の連署)

上記の必要書類の他、独自の運送約款を定めて運送事業を行う場合、登録申請と合わせて利用運送約款の認可をうけなければなりません。
ただし、各輸送モードごとに国土交通省から示されている「標準利用運送約款」を用いる場合には、この認可申請は不要で、事業計画にその旨記載して登録申請すればOKです。

登録申請手続きの流れ

要件等が確認出来たら、書類を作成・収集して運輸支局に登録申請します。登録後も運賃料金設定届や営業所等への掲示の実施などやるべきことがあります。ざくっとした流れは下図の通りです。

利用運送の登録手続き流れ図

 

上記ステップの最後にある、公衆の見やすいように掲示しなければならない内容は下記のとおりです。

  1. 第一種貨物利用運送事業者である旨
  2. 利用運送機関の種類
  3. 運賃および料金(消費者を対象とする者に限る)
  4. 利用運送約款
  5. 利用運送区域または区間
  6. 業務の範囲

定期報告

貨物利用運送事業の登録または許可を受けた事業者は、「事業概況報告書」と「事業実績報告書」を毎年定められた期限までに提出しなければなりません。

<提出期限>
・事業概況報告書は、事業者の事業年度終了から100日以内
・事業実績報告書は、毎年7月10日まで

<提出先>
事業概況報告書、事業実績報告書ともに、「運送機関の種類」と「事業の種別」ごとに、国土交通大臣または所轄地方運輸局長です(詳しくは 利用運送定期報告窓口 をご参照ください)

事業概況報告書

事業概況報告書は、輸送モード別・事業種別ごとの損益(収益、費用、損益、利益率)等を総括表と明細表に表したものと、損益計算書、貸借対照表で構成されます(参考:事業概況法告書様式)。

事業実績報告書

事業概況報告書は、貨物の取扱量(トン数)を、輸送モード・事業の種類別や、貨物発着地、仕立地・仕向地等にわけて報告するものです(参考:事業実績報告書様式)。

まとめ

このページではここまで、貨物利用運送とは何か、その種別は・・・ということと、第一種貨物利用運送の登録のための要件、書類、手続きを説明してきました。

許可要件が厳しい一般貨物自動車運送事業に比べ、貨物利用運送事業の場合、有資格者や車両の確保などが必要なく、所要資金も比較的少額で始めることができます。
ICT活用により、シェアリングエコノミーや各種のマッチングビジネスなど、新しいサービスも次々に生まれています。物流関連でも貨物利用運送の仕組みを使ったビジネスチャンスはすくなからず存在するでしょう。

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