旅行業登録の要件、必要書類と手続き、費用【2022年版】

2つのスーツケース

一般に、”旅行会社” や ”旅行代理店” と呼ばれるのは正式には「旅行業者」といい、この事業を行うには観光庁長官または都道府県知事による登録を受けなければなりません。無登録で営業すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその併科で罰せられます。

このページでは、旅行業登録を受けるため満たさなければならない要件と、手続きの流れについて解説します。

旅行業の登録 要件と手続き

それでは、最初に旅行業登録を受けるための要件を確認し、続いてその手続きの流れを見ていきましょう。

旅行業登録の要件

旅行業登録を受けるには、大きく3つの要件を満たすことが必要です。

  1. 申請者が登録拒否事由に該当しないこと
  2. 営業所ごとに1人以上の旅行取扱管理者を選任すること
  3. 基準に適する財産的基礎を有すること

また法令上の要件ではありませんが、例えば埼玉県では申請者が法人の場合に定款の事業目的が「旅行業」または「旅行業法に基づく旅行業」であるように求めています。これらは、申請先の行政庁による指定を良く確認しておくことが大切です。

それでは1~3の要件を順にみていきましょう

申請者が登録拒否事由に該当しないこと

旅行業登録は、種別により観光庁長官または都道府県知事によって行われますが、申請者が以下に該当する場合は、観光庁長官または都道府県知事は登録を拒否しなければならない、とされています。

  1. 旅行業法の規定により旅行業、旅行業者代理業、旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者(登録を取り消された者が法人である場合、取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にこの法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過していないものを含む。)
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又は旅行業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終り、又 は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
  3. 暴力団員等(暴力団員又暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)
  4. 申請前5年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
  5. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1-4のいずれかに該当するもの
  6. 心身の故障により旅行業、旅行業者代理業、旅行サービス手配業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  7. 法人であって、その役員のうちに上記1-4、6のいずれかに該当する者があるもの
  8. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  9. 営業所ごとに適切な人数、種別の旅行業務管理者を確実に専任すると認められない者
  10. 旅行業登録を申請する場合、登録業務範囲ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの

    (9,10 はそれぞれ、「旅行業務取扱管理者を選任」、「基準資産額制度について」の項に詳述しています)

営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任すること

旅行業者、旅行業者代理業者は、営業所ごとに1人以上(旅行業務に従事する従業員が10名以上の営業所は2人以上)の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。旅行業務取扱管理者はその営業所に常勤・専任であることが必要です(複数の営業所がある場合で、一定の条件を満たすと兼任できる場合があります)。

旅行業務取扱管理者は、合格した試験により、総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者の3種にわかれます。どの旅行業務取扱管理者を選任しなければならないかは、営業所で取り扱う旅行により下記の通りとなっています。

基準に適する財産的基礎を有すること

旅行業は多数の旅行者に旅行商品を販売するビジネスであり、消費者保護の観点から一定の経営的安定が求められます。そのため登録要件として、基準資産額制度が設けられています。

基準資産額制度について

基準資産額は、貸借対照表の資産の総額から実質的な財産的価値がないものなどを差し引いた金額で評価し、この基準を超える基準資産を有していないと登録されません。貸借対照表は直前の決算書のもの、新設会社で決算を行っていない場合は設立時貸借対照表の内容により判断されます。個人事業主の場合は「財産に関する調書」を提出します。

算出方法は以下の通りです。

「基準資産額」の計算方法

+) ①資産の総額
ー) ②負債の総額
ー) ③創業費等の繰延資産
ー) ④営業権(のれん)
ー) ⑤不良債権
ー) ⑥営業保証金or弁済業務保証金分担金

①資産の総額 :貸借対照表(P/L)左側「資産の部」合計額です。

②負債の総額 :まず、負債総額を差引きすることで、純資産額を出します。

③創業費等の繰延資産、④営業権(のれん)、⑤不良債権 :これらは現金化が不能か困難なものなので資産から控除します。

⑥営業保証金または弁済業務保証金分担金は、現金から形を変えて資産に計上されますが、基本的に旅行業を続ける限り現金化できないので、資産から控除します。

参考:営業保証金、弁済業務保証金分担金についてはコチラ

以上のように、基準資産額は営業保証金または弁済業務保証金分担金とともに、旅行者(消費者)保護=保証の原資となるものなので、純資産額から現金化困難な資産などをさらに差引いたものを確保しなければならない、というわけです。
そして、その基準資産の金額基準は、旅行業の種別ごとに以下の通りです。

                                    基準資産額
   第1種旅行業                           3000万円 
   第2種旅行業                            700万円 
   第3種旅行業                            300万円 
   地域限定旅行業                        100万円 

上記は、申請書添付書類である貸借対照表(法人の場合)または財産に関する調書(個人の場合)で確認されることになります。

旅行業登録の手続き

埼玉県庁正面

新規の旅行業登録申請は、観光庁長官(第1種)または主たる営業所所在地の都道府県知事(第1種以外)に対して行います。

実際の書類提出先は、都道府県知事登録の場合多くは都道府県庁の観光局等の窓口ですが、当事務所のある埼玉県は少々変わっていて、県庁内の県観光課もしくは県内9か所の地域振興センターが申請窓口となっています。

申請から登録までの期間

観光庁では、旅行業法関連の申請に対する標準処理期間は60日としており、東京都は新規の旅行業登録申請案内において申請から登録の標準処理期間を30~40日としています。

埼玉県では、県のホームページ上等に公表されていないようですが、問い合わせしたところ2~3週間程度、と回答がありました。一般的な許認可の中では短期間で結論が出る印象です。

登録後の有効期間

旅行業登録の有効期間は、登録の日から起算して5年です。引き続き旅行業を営む場合は、有効期限の2ケ月前までに更新申請をしなければなりません。
また、登録内容に変更があった場合、その時から30日以内に届出を行わなければなりません。

新規旅行業登録申請に必要な書類

登録行政庁により若干の違いがありますが、以下のように書類を取り揃えて申請します(以下は、埼玉県の例です)。

  1. 新規登録申請書(1)
  2. 旅行業者登録簿(1) :1と同内容
  3. 新規登録申請書(2) :主たる営業所以外の営業所がある場合のみ
  4. 旅行業者登録簿(2) :3と同内容
  5. 定款または寄付行為
  6. 登記事項証明書 :法人の場合
  7. 役員に関する書類(法人役員の宣誓書)
    または 個人事業者に関する書類(住民票、宣誓書)
  8. 旅行業務に係る事業の計画
    (航空券発券に関する契約、海外手配業者との契約がある場合、これらの契約書を含む)
  9. 旅行業務に係る組織の概要
  10. 財産に関する調書(個人の場合)または貸借対照表と損益計算書(法人の場合)
  11. 旅行業協会の発行する入会確認書または承認書
    (登録後ただちに旅行業協会の保証社員を希望する場合)
  12. 旅行業務取扱管理者選任一覧表
  13. 営業所の使用権を証する書類 :登記事項証明書(自己所有)または賃貸借契約書(賃借の場合)
  14. 事故処理体制の説明書
  15. 旅行業約款
    (標準旅行業約款以外の約款を使用する場合は旅行業約款認可申請書も提出)

埼玉県登録の場合の申請書類

埼玉県に申請する際の申請書類は…「埼玉県旅行業新規登録申請書類一覧表
埼玉県の申請書類様式は…「旅行業新規登録申請 様式集

なお、多くの許認可では法人の場合、定款の会社の目的に対象となる事業が書かれていることを求められますが、埼玉県での旅行業登録の場合は申請時点では会社の目的に”旅行業”等がなくとも受理、登録可能です。この場合、次回の株主総会等の機会に目的を追加する旨の誓約書を提出します。

新規登録に必要な費用

旅行業の新規登録の申請に必要な手数料等の費用は、第1種が登録免許税として90,000円、都道府県知事登録(第2・3種・地域限定)の手数料は、東京都は少々高くて90,000円、埼玉県や千葉県では17,000円、神奈川県は少し刻んだ17,010円となっています(同じ手続きで都と近県で費用がこんなに違うのは珍しいですネ)。
 
 
 
関連リンク

まとめ

旅行業は、比較的単価の高い商品を多くの消費者に販売するビジネスであるため、旅行業法は消費者保護を強く図るものとなっています。特に、旅行業登録要件において基準資産額制度を置き、さらに営業開始までに営業保証金を供託するか、または旅行業協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付することを要求していますので、新規登録申請にあたっては、そのことも考慮に入れておく必要があります。

登録申請にはかなり多くの書類も必要となりますので、旅行業の立ち上げをご検討される事業者様のご負担は小さくないものがあると思います。

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