旅行業協会への加入
旅行業法の大きな目的の一つは消費者保護です。旅行業者の経営破綻などに備え、原則的には「営業保証金」を供託することが求められますが、この営業保証金は、第2種旅行業の場合で1,100万円という大きな金額になり、事業開始の高いハードルとなります。
そこで旅行業協会に加入した上で、営業保証金の供託に替えて「弁済業務保証金分担金」を協会に納付し、協会がその相当額を供託する、という制度があります。この場合、弁済業務保証金分担金は、営業保証金の1/5の額で済みます。分担金のほか、協会への加入のための費用が掛かりますが、事業開始時の資金の運用はだいぶ楽になるのではないかと思います。
このページでは、旅行業協会と加入方法についての概要を解説しております。
当事務所でも、旅行業登録の申請とともに旅行業協会への入会申請をサポートしております。登録申請と共通する書類も少なくありませんので、一貫して、スピーディに対応可能です。
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旅行業協会は、旅行業法に基づき観光庁長官が指定する団体で、現在は「(一社)日本旅行業協会(略称JATA)」と「(一社)全国旅行業協会(略称ANTA)」の2団体があり、上記の弁済業務関係以外にも、業界団体として加盟旅行業者に対する指導や情報提供、また旅行業務取扱管理者試験の実施なども行っています。
JATA(日本旅行業協会)もANTA(全国旅行業協会)、旅行業法に定められた業務を中心に行っているので、両者の加盟業者へのサービスにそれほど大きな違いはありません。JATAは第1種旅行業者の大手企業が多く加入しており、ANTAは第2・3種の地域旅行業者が多く47都道府県別に支部が置かれ(支部加入は義務)、地域密着型の運営がされているといった、それぞれの特徴があります。
加入のための費用を、協会関係費(入会金+年会費)と、弁済業務保証金分担金を含めた加入初期費用で比較すると下表のようになります(ANTAは埼玉県旅行業協会(2025年1月時点)で、全旅、埼旅、地区会の関係費用合計、JATAは全国一律2025年9月時点)。

*JATAは旅行業種別による入会金・年会費の差異がなく、別途、従事者(役員、旅行部門従業員)数比例の特別会費(一人600円)があります。そのため、単純比較ができないので、左表のJATAの加入諸費費用は下記の仮定により記載しています。
※1 役員+従業員が50名の場合
※2:第2種旅行業の弁済業務保証金分担金
上記の通り上記JATAの費用は従事者数と旅行業種別が仮定のものですが、上記の仮定で初期費用は第2種でほぼANTA,JATAが同水準。JATAは年会費が高く人数比例分もあるので、加入年数が長くなるほど、また従事者が多い企業ほどJATA加入のランニングコストはANTAに比べて大きくなります。
入会手続きについて
旅行業協会加入を検討するに際して重要なことは、都道府県への登録申請の前に旅行業協会への加入手続きを進めておかなければいけない、ということです。それは、都道府県知事による登録通知を受けた後、営業保証金の供託または旅行業協会への弁済業務保証金分担金の納付を行った上で14日以内に届出を行なわなければならないからです。また、協会加入を前提に登録申請する場合、協会からの加入承諾証等を申請書に添付する必要もあります。
旅行業協会への入会手続きは、JATAの場合随時受付していますが、ANTAの場合は各支部で受付・審査の後に2か月程度に一度開催されANTA本部での地方代表者連絡会での承認を経て入会承認されるといった違いがあります。またANTAは入会申し込みに当たって加入3年以上の2名の会員の推薦が必要となっています(都道府県旅行業協会により異なる。また支部で面接の上推薦人を紹介してもらえることもあります)。
入会手続きの流れ
入会手続きに関して注意が必要なのは、旅行業登録申請に対して
以下はANTAの場合で記します(旅行業協会入会後、旅行業登録するケース)
入会申請書類 作成・提出
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支部の入会審査(2か月程度に1回)
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ANTA本部常任理事会の入会承認
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入会承諾書受領
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入会承諾書を添付し、行政庁へ他の申請書類とともに登録申請
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行政庁の登録通知を受け、弁済業務保証金分担金を納付
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営業開始上の流れのように、旅行業登録直後に旅行業協会に入会してから営業開始する場合は、行政庁への登録申請時点で旅行業協会から受け取る「入会確認書」または「入会承諾書」といった書類も提出する必要があります。なので、協会への入会申請から承認までの期間等に注意して、営業開始までのスケジュールを検討しておくことが重要になります。
入会申請に必要な書類
旅行業協会の入会申請に必要な書類は、一部行政庁への登録申請と共通のものがありますので、両方の申請に必要な書類を確認して揃えておくとよいでしょう(登記情報等の公的証明書や、旅行業事業計画書、組織概要書などの作成書類など)。
以下はANTA東京支部で示されている書類の例です。
- 入会申込書(正本・副本) :法人・個人
- 誓約書(正本・副本) :法人・個人
- 現況調査票 :法人・個人
- 旅行部門従事者名簿 :法人・個人
- 代表者の履歴書 :法人・個人
- 代表者以外の役員全員の履歴書(監査役含む) :法人
(資本金1億円以上または従業員100名以上において、旅行業専業でない場合は、旅行業担当役員のみで可。) - 旅行業担当者の履歴書 :法人・個人
- 定款又は寄付行為 :法人
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本 :法人
- 住民票 :個人
- 旅行業務に係る事業の計画 :法人・個人
- 旅行業務に係る組織の概要 :法人・個人
- 直近の「法人税確定申告書」及び添付書類の写し :法人
(法人設立後、最初の決算期を終了していない場合は、法人設立時の貸借対照表とその裏付資料)
(個人の場合は=財産に関する調書 ) - 旅行業務取扱管理者選任一覧表 :法人・個人
- 旅行業務取扱管理者の履歴書 :法人・個人
- 旅行業務取扱管理者又は主任者合格証の写し :法人・個人
- 事故処理体制の説明書 :法人
最後に
以上のように、旅行業登録申請と旅行業協会入会申請は、共通する書類も多く、また手続きの流れも連続しております。従って、旅行業の営業開始に向けた多忙な時期には、書類作成と手続き代行を一貫して行政書士に任せることも選択肢の一つと思います。
当事務所ではお忙しい皆様に替わって、各種申請のための要件確認、行政庁や関係機関との事前相談、書類作成と申請の代行を、許認可取得から営業開始まで一貫サポートいたしております。
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