家賃支援給付の基本をシンプルに解説

収束の見通せないコロナ禍が続く中、多くの事業者の方々にとって、固定費とりわけ店舗・事務所の家賃の負担が、事業継続に対して強い向かい風となっています。

国はこのような家賃負担に苦しむ中堅企業以下の事業者に向けて、「家賃支援給付金」の申請受付を7月14日から開始しています。

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「家賃支援給付金」の概要

家賃支援給付金の申請が低調のようです。8月20日付日本経済新聞朝刊では「家賃給付 目詰まり」との見出しを掲げ、「7月14日から申請を受け付け、8月4日から給付を始めた。17日時点での申請は約29万件にとどまり、給付も約2万件と全体の1割に満たない。理由は手続きが煩雑なことが大きい。」と報じています。

国も中小事業者等を幅広く救済するため、給付の対象となる事業者のパターンも幅広く、それを丁寧に説明している事務局の公式サイトでは、情報量が多くかえってわかりづらくなっているようにも思われます。

そのため、以下では基本的な情報を中心に、例外等は例を少し示す程度にとどめて、制度のあらましを確認していきたいと思います。

受給対象者

法人の範囲

資本金10億円未満または常時使用する従業員が2000人以下の法人(会社や、その他の医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人等を広く含む)

個人事業者の範囲

個人事業者は、フリーランスを含み、幅広く対象とします。

売上の減少について

新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年5月から12月までの間で、次のいずれかに該当る場合

1.上記期間のいずれか1か月の売上が前年同月にくらべ50%以上減少している

2.上記期間中の、任意の連続する3か月の売上が前年の同期間に比べて30%以上減少している

事業のために土地・建物を賃借している

他人の土地・建物をご自身で営む事業のために賃借している=賃料を支払っていること。

※一部の風俗営業を行う事業者、宗教上の組織・団体は給付対象外です。

給付対象費用

土地・建物の賃貸借契約に基づく支払賃料、共益費、管理費
(賃貸借に伴う保険料、保証金、修繕費や、使用に伴う水道光熱費などは対象外です)

給付額

月額家賃等に対して2/3を基本の補助率とし、その6か月分を補助。ただし月額家賃等が75万を超える場合、75万円を超える部分の補助率は1/3となります。

月額賃料等とは、一月当たりの支払賃料、共益費、管理費とします(以下同じ)。

 家賃等月額給付額算式給付上限
法人75万円以下部分家賃等月額×2/3×6か月分600万円
75万円超部分(家賃等月額ー75万円)×1/3 × 6ケ月分
個人37万5千円以下部分家賃等月額×2/3×6か月分300万円
37万5千円超部分(家賃等月額ー37万5千円)×1/3 × 6ケ月分

 

申請受付期間

2020年7月14日 から 2021年1月15日まで

申請書類

下記は基本パターンのものです。例外でも別途書類を用意することで申請可能な場合があります。

添付書類等は、PDF文書や、JPEG・PNGその他指定の画像ファイルでアップロードします。あらかじめ、スキャナやスマホなどで、PDF化または撮影しておきましょう。

1.宣誓書(事務局指定のもの)

2.売上に関する書類

前年売上 = 確定申告書第1表、法人事業概況報告書控え(法人)、所得税青色申告決算書(個人)

本年売上 = 自社使用の会計ソフトの出力データ、表計算ソフトで作成したもの、手書きの売上台帳 等

(前年売上に関する書類は、白色申告の場合や、創業・新規開業・事業継承等の特例の場合など異なることがあります)

3.賃貸借契約に関するもの

賃貸借契約書の写し

申請直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類(振り込みを行った銀行通帳の表紙と該当ページの写しや、貸主から受け取った領収証 等)

4.受取銀行口座の情報

給付金を受け取る銀行口座の通帳(表紙および開いた1・2ページ写し)等

5.本人確認書類の写し(個人)

マイナンバーカード、運転免許証の写し 等

上記の通りのものが用意できない場合などでも、他の書類等で代替できることが少なくありません。下記「例外等について」の項目内のリンクからご確認ください。

申請方法

パソコン、スマートフォン等によるオンライン申請です。

手続きの流れ(概要)

マイページの作成 ⇒ 宣誓・基本情報入力 ⇒ 売上・家賃等の入力 ⇒ 添付ファイル登録 ⇒ 申請

入力項目(基本情報)

必要書類のアップロードの前に、法人・個人の基本情報を登録します。必要事項は下記の通りです。

 

【入力項目(法人)】

  •  法人基本情報 :法人番号、法人名、法人区分、法人住所、書類送付先
  •  業種 :日本標準産業分類による大分類、中分類
  • 設立年月日(開業日)
  •  決算月
  •  資本金額・出資金額 :資本金の額または出資の総額
  • 従業員数 :常時使用する従業員数
  • 代表者情報 :代表者役職、代表者氏名、代表者氏名(フリガナ)、代表者生年月日、性別、
    代表電話番号
  • 担当者情報 :担当者氏名、担当者電話番号

 

 

【入力項目(個人)】

  •  屋号・雅号
  •  申請者住所 
  •  業種 :日本標準産業分類による大分類、中分類
  • 設立年月日
  • 開業日
  • 申請者情報 :氏名、氏名(フリガナ)、生年月日、性別、電話番号
  • 書類送付先 :(申請者住所と同じ場合は記載不要)

その他申請方法等についてくわしくは、事務局ホームページ「申請方法」を参照してください。

例外等について

上記の基本パターンに当てはまる方の給付申請はさほど難しくないと思いますが、事務局のサイトでは例外に関することも詳しく書かれているため、却って基本パターンに当てはまる方にも少々わかりにくいところがあるように思われます。

そのため、ここでは例外の主なものにどういったものがあるかのみ掲げます。

主な例外

  • 確定申告の例外
    直前の事業年度の確定申告が完了していない場合などの例外
  • 創業・新規開業
    2019年に創業または新規開業したため、前年同月または同期比で売上比較ができない場合
  • 合併特例
    2020年1月1日から申請に用いる売上減少月・期間までの間に合併を行った場合
  • 罹災特例
    2019年に罹災したことにより、もともと同年の売上が減少している場合で、罹災証明を受けている。
  • 法人なり特例
    2020年1月1日から申請に用いる売上減少月・期間までの間に法人なりした場合

例えば、新規開業をした場合、下記のような特例があります。

【新規開業特例】

2019年10月1日に新規開業した場合で、10月~12月の売上合計が180万円だった(月平均60万円)

⇒ 新型コロナウィルスの影響で、2020年6月の売上は20万円に減少した

この場合、(6月売上20万円)÷(前年開業後月平均売上)=33.3% となり、ある1か月の売上が50%以上減少しているとみて、給付の対象となります。

上記以外にも、必要な書類が用意できないケースなどもありますが、今は国もできるだけ事業を継続してほしいと考えて実施している支援策ですので、例外も幅広く拾い上げようという主旨です。あきらめずに、申請すること検討することが大切です。

例えば、建物の賃貸借契約は、最初の契約期間が終了した後は自動更新が繰り返されるケースが多く、長期間にわたって入居している場合は契約書を紛失、または発見できないようなことも少なくないかもしれません。

このような場合は、事務局サイトにある資料ダウンロードページから、「賃貸借契約等証明書」を取得して、貸主(大家)さんに住所氏名等を自書してもらい、ご自分の住所氏名等も記載した上で、これに3か月の家賃等支払い実績を証明する書類を添付することで、賃貸借契約書の添付に替えることができます(もっとも、この段階で貸主さん側に賃貸借契約書があるケースも少なくないかもしれませんね)。

他にも、基本的な要件等に該当しなくても申請が可能なケースも少なくありません。事務局サイトで一度ご確認ください ⇒ 事務局 例外に関する情報ページ

自治体による上乗せ給付制度

実施している自治体は多くありませんが、一部の自治体では国の家賃支援給付金を受給している事業者に対して、独自に上乗せ給付を実施しているところがあります。

実施しているのは、東京都、埼玉県、石川県、福岡県、草津市(滋賀)、内子町(愛媛)です(8月20日現在、当事務所調べ)。

自治体による上乗せ給付に関する情報はこちらもご覧ください
 ⇒「家賃支援給付金、自治体の独自上乗せも

最後に

持続化給付金、そしてこの家賃支援給付金はオンラインによる本人申請が基本となっています。時代の流れですから、行政手続き等が電子化されるのは当然といえるかもしれませんが、この種の手続きに不慣れな方には、やさしい手続きではないでしょう。

また、基本的な要件に当てはまる場合は良いのですが、例外に該当するところがあるととたんに申請がややこしく感じられるかもしれません。

持続化給付金、家賃支援給付金のオンライン申請を、本人に代わって業として行えるのは、行政書士に限られています。
ご本人での申請が難しい、という場合は当事務所にて代理申請を承っております。お気軽に下記あてにご連絡ください。

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